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About this Work




本作品は、”演劇的な役割語(※)によるセリフまわしと対話の手法”(=『シナリオ・ダイアローグ』※)を用いながら、居あわせた鑑賞者(参加者)とともに双方向のコミュニケーションを創出するライブパフォーマンス作品です。※『シナリオ・ダイアローグ』とは作者(naok fujimoto)の造語です。


本作は前作の『”シナリオ・ダイアローグ”第二弾《人生は自作自演=女優編=》』同様に、鑑賞者(観

客)を介入させながら挑む対話劇(シナリオ・ダイアローグ)の手法をとる即興パフォーマンス作品です。前回同様に、女性が語るナラティブアプローチを通して以下のような物語を想定しています。ですが、実際の中身はその日の観客次第!となる作品です。

今回の”シナリオ・ダイアローグ”第三弾《人生は自作自演=バーのママ編=》では、敬愛する中谷芙二子氏の作品”卵を立てる”および、中谷宇吉郎氏のエッセイ『立春の卵』にオマージュしたパフォーマンスアート作品です。当初、本作の核となる”卵を立てる”といった取り組みは、約10分程度の本作の持ち時間で難しいのでは?と予想していたのですが、なんと、予想を遥かに上回る結果に...実際には5名ものお客様が『卵立て』に成功されました!やはり、人工的に”霧を発生”させたことが功を奏したのでしょうか...

(※)役割後とは?​

日本語学者 金水敏先生(大阪大学栄誉教授)が命名した言葉で、話者の特定の人物像(年齢・性別・職業・階層など)を想起させる特定の言葉遣いのこと。主にステレオタイプに依存し,イメージが社会で広く共有されるに至った言葉遣いを指します。



▶︎Art Work ID:《シナリオ・ダイアローグ Ser.3》『人生は自作自演=バーのママ編=』by naok fujimoto

▶︎BGM:ボロディン 弦楽四重奏曲 第2番 ニ長調 第3章▶︎Date:2022/12/10.(土)20:00-20:15(15mins)▶︎Place:Art x Jazz M's @国分寺

​▶︎Setting (設 定):2022年12月31日の大晦日、国分寺にあるクラシックバー

▶️登場人物:

ワタシ:クラシックバーのママ(中国にルーツを持つ父を持つ)

マキちゃん:アルバイトの女の子(トランスジェンダー)

そして、本イベント参加のお客様(=観客)


▶︎Story Summary

起−1幕)開店前の大晦日の薄灯の国分寺のクラシックバー。店内にはボロディン 弦楽四重奏曲 第2番 ニ長調 第3章が流れる…ひとりの女(店のママ=わたし)が真剣な表情で何かに取り組んでいる。手には白い卵。

*先日、お店の常連客である畳屋のケンちゃん(祖父の代から店に通う畳屋の3代目)から教えてもらった「立春に卵が立つ話」に触発され、卵を立てようと格闘している。

*

そこへお店のアルバイトマキちゃんが登場(マキちゃんは音楽(おもに作詞)をやっているトランスジェンダー女性で、ときどき、ドラマや映画のエキストラをやっている…)ママがマキちゃんにも卵を渡し卵を立てるよう、促す...しかし卵が立たないまま開店時間に(店を開ける...)

承−2幕)カウターに常連客&新規のお客が横並びで座っている(祝満員!)ママ(=わたし)が客にドリンクのオーダーを取りながら、客らの近況(年末年始は故郷に帰るのか否かなど)を聞いていく...そのほか、大晦日めいたあたりさわりのない世間話を行う。*そんな中、ママはおもむろに客に見えるよう、カウンター上に卵を置き、現在ジブンが『卵を立てる』ことに取り組んでいることと、その理由⬇︎(※)について語り始める。カウンター越しの客にもそれぞれ卵を渡し、この”卵立て”に参加するよう促す...(卵は白玉と赤玉の両方を用意)*※理由:コロナもひと段落してきたので、ママは来年の立春にめがけ、亡き父の故郷(中国)に暮らすひとり暮らしの祖母(90歳)を訪ねたいと考えている。中国には『立春に卵を立てる』とその1年間、健康に幸せに暮らせるといった古い言い伝えがあることを常連客のケンちゃんから聞き、ぜひとも、息子を失った祖母の家で卵を立て、祖母の幸せを祈りたいと願っている…

転−3幕)未だ、卵は立たず...(ママ、マキちゃん、店の客全員が卵立てに興じる…)そこで、ママが卵を立てる?テクニックを学ぶために鑑賞した、中谷芙二子氏による動画『卵を立てる』の話や、卵を立たせた張本人である中谷氏の『霧の彫刻』について語り始める…

*そして、(もしかしたら、”霧”をつくったら卵が立つのではないか?)との仮説(気圧などの関係)を立て、バーカウンターに、人工的に”霧”をつくる演出を仕掛けていく…すると…客(観客)から、驚きの声が飛び交っていく...

結−4幕)カウンターでは相変わらず世間話と『卵立て』の格闘がなされていく...そんななか、少ししんみりしたトーンでママがモノローグを始める...*中国からの留学生であったママの父親と日本人との母が結婚する際、それぞれの国の親族から猛反対にあい、ほぼ駆け落ち状態だったこ、そして、現在の中国のゼロコロナ事情、先日、新宿西口で行われた中国人留学生によるスタンディングの話などを、呟くように語っていく...*すると、どこからともなく、除夜の鐘の音が...客席の中からも『卵が立った〜!』との歓喜の声も聞こえ始めて…賑やかなカウンターを前に、「今年もお世話になりました。来年もどうぞよろしくね」といったママの挨拶とともに、店はお開きに...*カウンターテーブルには、ママがわざと卵の底を潰して立てた”コロンブスの卵”が一つ取り残されていく...(暗転)

Text by ©︎naok fujimoto

Your Instructor

《シナリオ・ダイアローグ Ser.3》”人生は自作自演”=バーのママ編=(2022)

Performance Art Work

2022/12/10

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